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ニシキホラー4 『水たまり』

今日はまだ私が幼かった頃の不思議な思い出をお話します



昭和30年代の東京というのはまだまだ道も舗装されておらず雨が降るとあちこちに水たまりができました
学校帰りに車が勢いよく通過して頭のてっぺんからずぶぬれになることもしばしばです

当時小学二年生だった私はそれでも水たまりが大好きで
黄色い長靴をはいてはあちこちの水たまりでビシャビシャとよく遊んだものです

初夏にはトンボが飛んできてツ~イツ~イと身体を上下させ卵を産み付けたり
どこから来たのかアメンボが泳いでいる水たまりもありました




あの日、私は飼育当番の手伝いをしていて下校がいつもより遅くなり一人で帰ることになりました
一人にもかかわらず…
というか一人だからこそ
私はいつもの通学路とは違った道を通ってみたくなり
正門とは間逆にある小さな裏門から出てみることにしたのです

裏門から出てすぐそこは「七曲がり」と呼ばれている細い路地でした

大人が二人で歩いたら幅いっぱいの細い路地で
カクカクと角を七回曲がれば大きな通りに出られるはずです

一回…二回…三回…と角を曲がるたびに心の中で数えていきました

真夏の昼下がり…路地はシーンと静まり返っていてなんの音も聞こえません
雨上がりのじっとりとした空気に包まれながら
私はこんな冒険をこころみた自分を少しだけ後悔していました…

なぜなら七曲がりの路地は行けども行けども出口が見えず
角を曲がればまた角が現れて…
とっくに七回は過ぎたはずなのに…と…

心細さと何かおかしなことが起こっているような怖さでで無意識に足は速くなっていきました

何回目か分からないまま急ぎ足で角を曲がると


突然






そこには大きな空き地が広がっていました
さっきまでのどんよりとした空気をかき消すように心地よい風が吹き抜けています

その空き地には幾つかの水たまりがありキラキラと鏡のように光っていました
今までの不安をすっかり忘れ私は夢中になって遊びはじめました

一つの水たまりを覗いてはビシャビシャと長靴でかき回し
次の水たまり
その次の水たまり…

そんなことを繰り返しているうちに
いつしか雲間に青空も見えてきました

ふと視界の端に赤いものが写りました

「あれっ?」

振り返った私の眼に飛び込んできたのは

一つの水たまりの中からじっとこちらを見ている女の子です






もちろんその空き地には私一人…他に誰の姿もありません…

赤い傘をさして白いワンピース
おかっぱ頭のその子の顔は笑っているような泣いているような表情をして水たまりの中に…だけ…立っています
丁度私と同じくらいの背格好でした







「あ ・ そ ・ ぼっ... ...」


手招きされた私はその水たまりになんの躊躇もなく入ろうとしました

その時ーふわっとまた風が吹いて水面が小さく波立つと
その子はかき消されるように姿を消してしまいました

夢の中から覚めたような頭でぼんやりと恐怖を感じた私はその空き地を急いであとにしました
角を曲がるとそこは見覚えのある大通り

してはいけない寄り道ですので家に帰っても話すこともできず…
そのまま記憶の深い奥にしまいこんでいましたが



白昼夢だったのでしょうか?
あの女の子は誰だったのでしょうか?

その後興味を持った友人と「七曲がり」を抜けてもそんな空き地はありませんでした

ちゃんと七回曲がって大通り…




幼い頃の忘れられない体験です

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プロフィール

錦庵

Author:錦庵
こんにちは!錦庵と申します
この度は当ブログをご覧頂きありがとうございます

4人の子供が独立したことを機に長年の夢であった
レンタルボックス「月箱」を2006年10月に渋谷にオープン致しました
http://www.tsukibaco.com/
そこには総数1100名以上の作家さんが全国から集い
私自身も大きな刺激を受けました

元々何かを作ることは大好きでしたので当初は石に千代紙や布を貼りペーパーウェイトを作っていましたが…
2009年3月愛猫(15歳)が体調を崩し動揺する心の中で
せめて石にこの子の姿を残しておこう!と作ったのが”石猫”の始まりです

幸い石猫に描いてから愛猫はすっかり元気になり家の中でスキップしています(笑)

極小の「じゃりにゃんこ」を含め現在に至るまで900匹以上の石猫を製作し、ほとんどの石猫が嫁ぎ皆様に愛されています



===============

オーダーも常時承っています。
ご希望の方はお気軽に
下記までメッセージをお願い致します。


nishiki@tsukibaco.com


詳細につきましては御相談にも応じます。

また、オーダー頂いた作品につきましては当ブログや作品紹介帳などでご紹介させて頂きますのでご了承ください。

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通常販売は「月箱」と中山法華経寺参道にある「カフェ楽舎」のみですが東京ビッグサイトで年二回開催されます「デザインフェスタ」にも出展しています

これからも石というキャンバスの可能性を更に追求していきたいと思っています

============================================================

この世の全てのものに命があることを愛しく感じます

たとえそれが土に埋もれた小さな石でも。。。

★河原の石とて夢を見る、路傍の石とてもの想う★

名づけて 『夢想石』

只今「流水の錦」シリーズ&「石猫」「じゃりねこ」シリーズ展開しています

今後ともどうぞ宜しくお願い致します

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